NISAの費用。何にいくらかかるのか、無料なのはどこまでか
しくみパパ
調べ直してみると、無料なのは制度のほうで、お金が引かれる場所は別にありました。ここを分けて整理します。
- NISAという制度自体には費用がかからないということ
- 「制度が無料」と「投資が無料」は別だということ
- 実際に引かれる3つの費用と、NISAで消えるのはどれか
- 信託報酬が自分の積立額だと年いくらになるのか
- iDeCoとの費用の違い
※この記事はNISAという制度にかかる費用の話です。手数料・信託報酬・税金という3つの費用の仕組みそのものは手数料・信託報酬・税金は、取られるタイミングが違いますで詳しく扱っています。
結論:NISAという制度には、費用がかかりません
「使わなかったら費用が発生するのでは」と心配する必要はない、という点だけ先に押さえておくと安心できます。
| NISAで起きること | 制度としての費用 |
|---|---|
| 口座を開く | 0円 |
| 口座を持ち続ける | 0円 |
| 年間の枠を使う | 0円 |
| 金融機関を変更する | 0円 |
| 売って現金に戻す | 0円(制度としての費用はない) |
しくみパパ
制度に利用料を取る主体がいないので、無料なのは当然といえば当然でした。国が「税金を取らない枠を作った」というだけの話だからです。
つまずきやすいところ:「制度が無料」と「投資が無料」は別です
ここが一番大事なところでした。無料なのは箱のほうで、中に入れる商品には費用がかかります。
| 何にあたるか | 費用 | |
|---|---|---|
| NISA | 制度(税金がかからない枠) | かからない |
| 証券会社 | 場所(買う窓口) | 口座の維持費は基本かからない |
| 投資信託 | 商品(枠の中で買うもの) | ここに費用がかかる |
しくみパパ
分けて考えられるようになると、「無料」という言葉がどこにかかっているのかが読めるようになります。
費用は制度ではなく、中で買う商品のほうに付いている——この一点を押さえると、あとの説明が全部つながります。
かかるのは「中で買う商品」の費用。3つあります
| 費用 | いつ引かれるか | NISAだと |
|---|---|---|
| ①購入時手数料 | 買うとき、1回だけ | つみたて投資枠の対象商品は無料 |
| ②信託報酬 | 持っている間ずっと | 変わらずかかる |
| ③税金 | もうかったとき | かからなくなる |
NISAで消えるのは③だけです。①と②は、NISAの中で買っていても課税される口座で買っていても同じように発生します。
①購入時手数料:つみたて投資枠なら無料です
しくみパパ
NISAのつみたて投資枠で買える商品は、この手数料が無料であることが条件のひとつになっています。だから枠の中から選ぶかぎり、ここは考えなくて済みます。
| どこで買うか | 購入時手数料 |
|---|---|
| つみたて投資枠の対象商品 | 無料(制度の条件になっている) |
| 成長投資枠で選ぶ商品 | 商品による。無料のものが多いが、かかるものもある |
②信託報酬:NISAでも消えません。いちばん見えにくい費用です
しくみパパ
やっかいなのは請求書が来ないことでした。商品の値段から毎日少しずつ自動で引かれるので、明細のどこにも「手数料」として並びません。
「NISAだから費用はかからない」と思っていると、3つのうち一番大きくなりうる費用を見落とすことになります。
毎月10,000円だと、年いくらになるのか
率のままでは大きさが分かりません。自分の積立額に掛けて、円に直します。私が再開する予定の毎月10,000円で計算してみます。
| 積み立てた年数 | 出したお金の合計 | 年0.2%だと | 年1.5%だと |
|---|---|---|---|
| 1年後 | 120,000円 | 240円 | 1,800円 |
| 5年後 | 600,000円 | 1,200円 | 9,000円 |
| 10年後 | 1,200,000円 | 2,400円 | 18,000円 |
| 20年後 | 2,400,000円 | 4,800円 | 36,000円 |
※出したお金の合計だけで計算した単純な試算です。値動きも運用の成績も考えていません。実際の金額は残高によって変わりますし、将来どうなるかは保証されません。
しくみパパ
ところが同じ率のまま20年たつと4,800円と36,000円になります。率は変わらないのに、引かれる金額だけがふくらんでいく——ここは自分で計算してみるまで実感できませんでした。
つまり買う前に決められる数少ない部分が、この費用です。読めない部分を予想するより、決められる部分を確認しておくほうが確実でした。
③税金:これだけがNISAで消えます
| 10万円の利益が出た場合 | 課税される口座 | NISA |
|---|---|---|
| 出た利益 | 100,000円 | 100,000円 |
| 引かれる税金 | −20,315円 | 0円 |
| 手元に残る | 79,685円 | 100,000円 |
※税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)です。利益が出た場合の計算であり、利益が出ることを前提にした説明ではありません。この税金がゼロになる制度としてのNISAの説明はNISAとは?に書きました。
しくみパパ
逆に言うと、利益が出ていなければ、NISAで浮くお金はありません。税金は利益にかかるものなので、当然といえば当然です。ここを取り違えると、期待の方向がずれます。
だから「NISAだから安心」ではなく「NISAの中で何を買うか」のほうを見る必要があります。制度を選んだ時点では、費用の話はまだ何も終わっていません。
「それは制度の話か、商品の話か」——この一問を挟むだけで、読み違いはほとんど防げます。
iDeCoとの違い:あちらは口座そのものに費用がかかります
同じ「税制優遇の制度」として並べて語られますが、費用の構造は逆でした。iDeCoは口座そのものに費用がかかり、掛金を止めたあとも引かれ続けます。NISAはここが全部ゼロです。金額の内訳はNISAとiDeCoは何が違うのかに書きました。
しくみパパ
私は一度、積立を半年で止めています。NISAは止めても費用が発生しません。もしiDeCoで同じことをしていたら、止めたあとも口座の費用だけが引かれ続けていました。
よくある質問
| 質問 | 答え |
|---|---|
| 積立を止めたら費用はかかりますか | かかりません。ただし持ち続けている商品の信託報酬は、止めたあとも引かれます |
| 信託報酬はどこを見れば分かりますか | 商品ページに率が表示されています。正確には「目論見書」の費用のページに一覧があります |
| 金融機関を変えると費用がかかりますか | 制度としての費用はありません。ただし手続きの期間が決まっており、それまでに買った分は元の金融機関に残ります |
| 売るときに税金は本当にかかりませんか | NISAの枠の中で買った分の利益にはかかりません。枠の外で買った分は通常どおり課税されます |
| 損が出た場合はどうなりますか | 税金がもともとかからない枠なので、損を他の利益と相殺する仕組みは使えません。ここはNISAの弱点にあたるので、NISAで損をすることはあるのかで詳しく書きました |
※取扱いは金融機関や商品によって異なります。実際の条件は各社の案内をご確認ください。
まとめ
- NISAという制度自体に費用はかかりません。開設も維持も0円
- 「制度が無料」と「投資が無料」は別。費用は中で買う商品に付いている
- 商品にかかるのは購入時手数料・信託報酬・税金の3つ
- 購入時手数料はつみたて投資枠の対象商品なら無料
- 信託報酬はNISAでも消えない。持っている間ずっと引かれる
- NISAで消えるのは税金だけ。「お得」の中身はこの1行
- 率は自分の積立額に掛けて円に直してから比べる
- iDeCoは口座そのものに毎月費用がかかる。止めても続く。NISAはゼロ
大事なのは費用をゼロにすることではなく、「無料と書いてある範囲を正しく読めること」のほうです。範囲を読み違えると、一番大きい費用を見落とします。
私が調べ直して一番はっきりしたのは、NISAを選んだ時点では費用の話が何も終わっていないということでした。制度は無料でも、中身の費用は自分で確認するしかありません。制度・場所・商品を分けて考えられるようになったことが、この記事を書くにあたっての一番の収穫でした。
しくみパパ