手数料・信託報酬・税金は、取られるタイミングが違います
しくみパパ
ところが中身を見ると、引かれるタイミングも性質もバラバラでした。ここを分けて整理します。
- お金が引かれる場面は3つあるということ
- 信託報酬が「いちばん見えにくい費用」である理由
- 0.1%と1.5%の差が、実際にいくらになるのか
- 税金はいつ、どうやって引かれるのか
- NISAで消えるのは、このうちどれか
引かれる場面は3つです
| いつ | 名前 | 性質 |
|---|---|---|
| 買うとき | 購入時手数料 | 1回だけ。無料のものが多い |
| 持っている間ずっと | 信託報酬 | 毎日少しずつ。いちばん見えにくい |
| もうかったとき | 税金 | 利益に対して約20% |
「手数料が無料」と書いてあっても、それは買うときの話であることが多いという点が要注意でした。
① 買うときの手数料
| いまの状況 | |
|---|---|
| 投資信託 | 購入時手数料が無料のものが多い(ノーロードと呼ばれる) |
| 株 | 売買手数料。条件つきで無料にしている会社もある |
しくみパパ
ただしノーロード=費用ゼロではありません。持っている間の信託報酬は、別にかかります。
② 持っている間の信託報酬(いちばん見えにくい)
引き落としの通知もなければ、明細に「手数料」として並ぶこともありません。払っていることに気づけない形です。
年率で表示されます。「年0.1%」「年1.5%」といった書き方です。
0.1%と1.5%で、どれくらい変わるのか
| 信託報酬 | 100万円を1年持ったとき | 20年の合計(単純計算) |
|---|---|---|
| 年0.1% | 1,000円 | 20,000円 |
| 年0.5% | 5,000円 | 100,000円 |
| 年1.5% | 15,000円 | 300,000円 |
※100万円を持ち続けたと仮定した単純な計算です。実際は値動きによって金額が変わります。運用の成績も考えていません。
しくみパパ
でも金額に直すと1年で14,000円の差でした。しかも持ち続けるかぎり毎年です。ここは見過ごせません。
これだけで、商品ページの数字が判断できる材料に変わります。
「毎日少しずつ」とは、1日いくらなのか
毎日引かれると言われても、金額で見ないと実感がわきません。100万円分を持っている場合で、1日・1か月・1年に直してみます。
| どの単位で見るか | 年0.2%の商品 | 年1.5%の商品 |
|---|---|---|
| 1日あたり | 約5.5円 | 約41円 |
| 1か月あたり | 約167円 | 1,250円 |
| 1年あたり | 2,000円 | 15,000円 |
※100万円を1年持ち続けたと仮定した単純な計算です。実際は値動きで残高が変わるため、金額も日々変わります。
しくみパパ
ところが同じものを1年でまとめると、2,000円と15,000円。急に生活の感覚に近い数字になりました。
信託報酬は明細に並ばず、値段に溶けた形で毎日引かれます。見直すきっかけが、自分から確認しにいく以外にありません。
信託報酬は、誰に払っているのか
| 受け取る会社 | 役割 |
|---|---|
| 販売会社 | 証券会社・銀行。買う窓口と、その後の案内 |
| 運用会社 | 何を買うかを決めて、実際に運用する |
| 信託銀行 | 集まったお金を預かって管理する |
信託報酬は、この3社で分け合っています。「年0.5%」と書かれていたら、その中で配分が決まっています。
しくみパパ
自分で株を選んで買えばこの費用は不要ですが、そのかわり全部を自分でやることになります。
表示されている率より、実際は少し高くなります
これらを含めた実際の負担を実質コストと呼びます。表示されている信託報酬より高くなるのが普通です。
実質コストは「運用報告書」という書類に載っています。商品ページの表示だけを見て決めると、実際の負担と差が出ることがあります。
売るときにかかることもあります
| 名前 | 中身 |
|---|---|
| 信託財産留保額 | 売るときに差し引かれる。設定されていない商品も多い |
しくみパパ
あるかないかは商品ごとなので、買う前に確認しておくところです。
費用は、どこに書いてあるのか
しくみパパ
ここが分からないと、結局なにも比べられません。調べて整理しました。
「目論見書」という説明書があります
しくみパパ
買う前に必ず渡されるもので、ネットで買うときも画面に表示され、確認しないと先に進めないようになっています。あの「読んで閉じるだけ」の書類が、費用の一次情報です。
| 書類 | 何の書類か | 分かる費用 |
|---|---|---|
| 交付目論見書 | 買う前に渡される説明書 | 購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額(これから引かれる予定の率) |
| 運用報告書 | 1年ごとの実績の報告 | 実際にかかった費用(前に出てきた実質コスト) |
ここに費用の一覧表が載っています。運用方針や中身の説明は、費用を比べる目的なら読み飛ばして構いません。
証券会社の商品ページにも信託報酬は表示されています。まずはそこで見て、実際に買うと決めた段階で目論見書の一覧を確認する、という順番で足ります。
自分の積立額だと、年いくらになるのか
率を金額に直す手順は3つだけです。
- いま持っている金額(これから積むなら、何年後にいくらになるか)を出す
- そこに率を掛ける
- 出た数字が、その年に引かれる金額
毎月1万円を積み立てた場合で計算します。
| 積み立てた年数 | 出したお金の合計 | 年0.2%だと | 年1.5%だと |
|---|---|---|---|
| 1年後 | 12万円 | 240円 | 1,800円 |
| 10年後 | 120万円 | 2,400円 | 18,000円 |
| 20年後 | 240万円 | 4,800円 | 36,000円 |
※出したお金だけで計算した単純な試算です。値動きも運用の成績も考えていません。将来どうなるかは保証されません。
しくみパパ
始めたばかりの頃は年240円です。「この程度なら」と判断してしまいますが、判断した相手は20年後の36,000円のほうでした。
だから先に決められる数少ない部分が、この費用です。読めない部分より、決められる部分を先に押さえるほうが確実でした。
③ もうかったときの税金
| 何に | 税率 |
|---|---|
| 売って出た利益 | 約20% |
| 受け取った配当・分配金 | 約20% |
※正確には20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)です。
| 金額 | |
|---|---|
| 出た利益 | 100,000円 |
| 引かれる税金 | −20,315円 |
| 手元に残る | 79,685円 |
しくみパパ
10万円を入れて11万円になったなら、税金がかかるのは増えた1万円のほうだけです。
会社員が投資を始めても手続きが増えないのは、この仕組みがあるためです。
「手数料無料」は、どこの話なのか
広告や商品ページで「無料」「0円」という表示をよく見ます。ただし、無料になっている場所は毎回違いました。
| よく見る表示 | 無料になっているもの | 信託報酬は |
|---|---|---|
| 口座開設・口座管理費 0円 | 口座を持つこと(商品の費用ではない) | 別にかかる |
| 購入時手数料 0円(ノーロード) | 買う瞬間の1回だけ | 別にかかる |
| 積立の買付手数料 0円 | 毎月の買い付け | 別にかかる |
| 売買手数料 0円 | 株の売り買い(投資信託の話ではない) | — |
しくみパパ
毎年かかり続ける信託報酬が無料になる、という意味ではありません。いちばん大きい費用は、無料表示の外側にあります。
「これは買うときの話か、持っている間の話か」——この一問を挟むだけで、読み違いはほぼ防げます。
NISAで消えるのは、このうちどれか
| 費用 | NISAを使うと |
|---|---|
| 購入時手数料 | かかるものはかかる(消えない) |
| 信託報酬 | そのままかかる(消えない) |
| 税金 | かからなくなる(消える) |
「NISAだから費用がかからない」と思っていると、いちばん大きい費用を見落とすことになります。
まとめ
- 引かれる場面は買うとき・持っている間・もうかったときの3つ
- 信託報酬は請求書が来ない。値段から毎日引かれるので気づきにくい
- 率のままでは大きさが分からない。円に直して比べる
- 税金は利益に対して約20%。元本にはかからない
- 費用は目論見書の「ファンドの費用・税金」のページにまとまっている
- 率が同じでも、残高が増えれば引かれる金額は増える
- 「無料」は買うときか口座の話。信託報酬が無料になるわけではない
- NISAで消えるのは税金だけ。信託報酬は変わらずかかる
大事なのは費用をゼロにすることではなく、「何にいくら払っているのかを把握しておくこと」のほうです。把握していれば、あとで比べられます。
私が一番驚いたのは、払っていることに気づけない費用があるという点でした。家計簿には出てこないので、明細を見ても分かりません。商品を選ぶ時点で確認しておくしかない種類の費用です。
しくみパパ