複利とは?「雪だるま」でごまかさずに数字で説明します
しくみパパ
イメージは分かるのですが、実際に何が起きているのかが分かりませんでした。数字で並べて確かめます。
- 複利と単利は何が違うのか
- 年ごとに、実際どう差がつくのか
- なぜ「時間が味方になる」と言われるのか
- 複利という商品は存在しないということ
- 預金では複利を実感できない理由
- 複利を止めてしまう行動
- 借金にも複利が効くということ
- 複利の話を読むときの注意点
複利と単利の違い
| 何に利益がつくか | |
|---|---|
| 単利 | 最初に出した額(元本)だけに、毎年つく |
| 複利 | 元本+これまでの利益に、毎年つく |
違いは「利益にも利益がつくかどうか」だけです。
しくみパパ
単利は元本だけを見て計算し、複利は増えた後の全体を見て計算します。ここが分かれ目でした。
数字で並べます
100万円を、年5%で運用できたと仮定した場合の比較です。
| 年 | 単利 | 複利 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1年後 | 1,050,000円 | 1,050,000円 | 0円 |
| 5年後 | 1,250,000円 | 1,276,282円 | 26,282円 |
| 10年後 | 1,500,000円 | 1,628,895円 | 128,895円 |
| 20年後 | 2,000,000円 | 2,653,298円 | 653,298円 |
| 30年後 | 2,500,000円 | 4,321,942円 | 1,821,942円 |
※年5%で増え続けたと仮定した計算例です。この利回りが保証されるものではありません。実際の運用では増える年も減る年もあり、税金や費用も引かれます。
しくみパパ
ところが30年目には182万円の差になっていました。最初はほとんど変わらない——ここが実感と合わない部分でした。
なぜ後半で急に開くのか
毎年つく利益の額そのものが、年々大きくなっていくからです。
| その年についた利益(複利) | |
|---|---|
| 1年目 | 50,000円 |
| 10年目 | 77,566円 |
| 20年目 | 126,347円 |
| 30年目 | 205,807円 |
同じ5%でも、かける相手が大きくなれば、出てくる金額も大きくなる。これが複利の中身でした。
つまずきやすいところ:複利は商品の名前ではありません
しくみパパ
答えは「そういう商品はありません」です。ここは調べ直して整理しました。
複利は「買うもの」ではなく、「起きること」です。
| よくある受け取り方 | 実際は |
|---|---|
| 複利という商品がある | 商品の種類ではない。増えた分を出さずに置いておくと、結果としてそうなる |
| 複利型を選べば増える | 選ぶのは商品。複利になるかどうかはその後の扱い方で決まる |
| 「複利コース」という名前を見た | 名前として使われることはあるが、中身は「増えた分を元に足すかどうか」だけ |
逆に、増えた分を毎年受け取って使ってしまえば、働くお金は元本のままです。その時点で単利と同じ動きになります。
しくみパパ
複利の形になるのは後者です。商品名ではなく、この扱いの違いでした。
だから「時間が味方になる」と言われます
逆に言えば、効かせたいなら早く始めて、長く続けるしかないということになります。
しくみパパ
月1万円でも続くほうが、月3万円で半年で止まるより効きます。実際に私は止めた側です。
銀行預金にも、複利はついています
複利は投資だけの話ではありません。銀行の普通預金にも利息はつき、その利息にも次の年の利息がつきます。仕組みとしては同じです。
しくみパパ
私の通帳では、そんな瞬間はありませんでした。理由が知りたかったので、同じ表を作ってみました。
100万円を預けたまま置いた場合(年0.2%と仮定)の比較です。
| 年 | 単利 | 複利 | 差 |
|---|---|---|---|
| 10年後 | 1,020,000円 | 1,020,181円 | 181円 |
| 30年後 | 1,060,000円 | 1,061,773円 | 1,773円 |
※年0.2%と仮定した計算例です。実際の金利は金融機関や時期によって異なります。利息にかかる税金は含めていません。
複利は「率」と「時間」の両方がそろわないと動きません。預金で実感がないのは、片方が欠けているからでした。
しくみパパ
でも同じ仕組みでも、率が小さければ30年で1,773円です。複利という言葉だけでは何も決まらないと分かりました。
何年で倍になるかを、暗算で出す方法
「72の法則」と呼ばれる、ざっくり計算するやり方があります。
年5%なら 72 ÷ 5 = 約14.4年
年6%なら 72 ÷ 6 = 約12年
年0.2%なら 72 ÷ 0.2 = 360年
※おおよその目安を出すための簡便な計算です。正確な値ではありません。また、この利回りが得られることを示すものでもありません。
しくみパパ
「年5%で10年で倍」と書いてあれば、72÷5=14.4年なので合わないと気づけます。ここは使える道具でした。
積立の場合は、どうなるのか
上の表は「100万円を最初に置いた場合」でした。毎月積み立てる場合は、形が変わります。
| 出した合計 | 年5%で運用できた場合 | 増えた分 | |
|---|---|---|---|
| 10年後 | 1,200,000円 | 1,552,823円 | 352,823円 |
| 20年後 | 2,400,000円 | 4,110,337円 | 1,710,337円 |
| 30年後 | 3,600,000円 | 8,322,586円 | 4,722,586円 |
※毎月10,000円を積み立て、年5%で増え続けたと仮定した計算例です。この利回りが保証されるものではありません。税金・費用は含めていません。
しくみパパ
ところが30年目には、増えた分のほうが出した額を上回っています。ここでも、効いてくるのは後半でした。
「早く始めるほうがいい」と言われるのは、そのお金が働く時間が長くなるからでした。
税金がかかると、複利は弱まります
| 利益に税金がかかると | |
|---|---|
| 売って利益を確定するたびに | 約20%が引かれる |
| その分 | 次の年に働くお金が減る |
| 結果 | 複利の効き方が弱くなる |
「NISAは長く持つほど効く」と言われる理由は、複利と組み合わさるからです。
複利を止めてしまう行動
複利は、置いておけば勝手に効き続けるものではありません。こちらの行動で、簡単に止まります。
| 行動 | 何が起きるか |
|---|---|
| 途中で売って買い直す | 売るたびに利益から約20%が引かれ、次の年に働くお金が減る |
| 増えた分を受け取って使う | 働くお金が元本のままになる。単利と同じ動きになる |
| 持っている間の費用が高い | 増えた分から毎年少しずつ引かれ続ける |
途中で売ると、どれくらい変わるのか
100万円を年5%で30年持ったとして、10年ごとに売って買い直した場合と、売らずに最後に一度だけ売った場合を比べます。どちらも中身は同じで、違うのは売った回数だけです。
| 30年後の手取り | |
|---|---|
| 10年ごとに売って買い直した | 3,396,075円 |
| 売らずに最後に一度だけ売った | 3,657,554円 |
| 差 | 261,479円 |
※年5%で増え続け、利益に20%の税金がかかると仮定した計算例です。この利回りが保証されるものではありません。売買の手数料は含めていません。
しくみパパ
「利益が出たから一度確定しておこう」は気持ちとしては分かるのですが、複利の側から見ると、働くお金を自分で減らす動きでした。
ただし「売っていい」という意味ではありません。売った分だけ、そのお金が働く時間は短くなります。
つまずきやすいところ:借金にも同じことが起きます
複利は、借りている側にも同じように働きます。
| 複利が働く方向 | |
|---|---|
| 投資している側 | 自分の味方。利益に利益がつく |
| 借りている側 | 自分の敵。利息に利息がつく |
投資で年5%を目指しながら、年15%で借りているとしたら、差し引きでは減っていることになります。先に返すほうが確実という考え方は、ここから来ています。
複利の話を読むときの注意点
| よく見る書き方 | 読むときの注意 |
|---|---|
| 「年5%で30年運用すると◯円」 | 5%は仮定の数字。保証された利回りではない |
| グラフが右肩上がりの曲線 | 実際は上下しながら進む。まっすぐは増えない |
| 税金・費用が書かれていない | 実際は利益から約20%の税金と、持っている間の費用が引かれる |
※この記事の計算も、税金と費用を含めていない単純な例です。実際の手取りはこれより少なくなります。
まとめ
- 複利は「元本+これまでの利益」に利益がつく仕組み。単利は元本だけ
- 率は変わらない。変わるのは率をかける対象の大きさ
- 最初の数年はほとんど差が出ない。効いてくるのは後半
- だから早く始めて長く続けることが効く。金額より継続
- 複利は商品の名前ではない。増えた分を出さずに置いた結果として起きる
- 預金で実感できないのは仕組みの問題ではなく、かける率が小さいから
- 途中で売る・増えた分を使うと、その時点で複利は止まる
- 借金にも同じことが起きる。高い金利の返済が先という判断はここから来る
大事なのは何%で増えるかではなく、「途中で止めないこと」のほうです。止めた時点で、後半の効果は受け取れなくなります。
数字を並べてみて、雪だるまという言い方はむしろ誤解を招くと感じました。転がし始めた直後は、ほとんど大きくなりません。地味な時期のほうが長い——そこを知っておくほうが、続ける助けになると思います。
しくみパパ