NISAとiDeCoは何が違うのか。どちらを先にやるべきか
しくみパパ
どちらも「税金がお得になる制度」と書いてあるので、何が違うのか分かりませんでした。ここを整理します。
- NISAとiDeCoは、そもそも何のための制度なのか
- いちばん大きな違いは「引き出せるかどうか」
- 税金が軽くなる場所が、実は違うということ
- iDeCoにあってNISAにない費用
- iDeCoの上限が働き方で変わること、60歳までという条件の重さが年齢で変わること
- 両方を同時にやれるのか(併用できるのか)
- どちらを先にやるべきか、判断の材料
そもそも、どちらも「箱」です
NISAもiDeCoも、投資の商品ではありません。ここを最初に押さえておかないと、話が噛み合いません。
| 言葉 | 正体 | 買い物でいうと |
|---|---|---|
| NISA | 制度(箱) | 「税金なし」のレジ |
| iDeCo | 制度(箱) | 「老後まで開けない」税金なしのレジ |
| 投資信託・株 | 商品 | そのレジで買うもの |
しくみパパ
NISAが「資産づくり全般」の箱なのに対し、iDeCoは老後のためだけの箱です。
違い①:引き出せるかどうか(いちばん大きい)
違いはいくつもありますが、順番を決めるときに効くのはここ1つです。同じ金額を入れても、あとで手を付けられるかどうかがまったく違います。
| NISA | iDeCo | |
|---|---|---|
| お金を引き出せるか | いつでも売って引き出せる | 原則60歳まで引き出せない |
| 途中で止められるか | いつでも止められる | 掛金を止めることはできるが、お金は出せない |
| 急にお金が必要になったら | 売って使える | 使えない |
「老後のためのお金」と割り切れる額だけを入れる制度だと考えたほうが安全です。
しくみパパ
そのなかで「30年出せないお金」を作るのは、順番として無理があると考えました。
違い②:税金が軽くなる場所が違う
どちらも「税金がお得」と言われますが、お得になる場所が別です。
| どこで軽くなるか | NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| 入れるとき | 何もなし | 掛けた額が所得から引かれる |
| 増えたとき | 利益に税金がかからない | 利益に税金がかからない |
| 受け取るとき | 何もなし(そもそも非課税) | 受け取り方によって税金がかかる場合がある |
しくみパパ
会社員なら、年末調整で戻ってくる形になります。ここがiDeCoだけの強みでした。
実際いくら戻るのか
| 金額 | |
|---|---|
| 毎月の掛金 | 10,000円 |
| 1年分 | 120,000円 |
| 税率が合計20%の場合、軽くなる税金 | 約24,000円 |
※所得税と住民税を合わせて20%と仮定した概算です。実際の税率は収入や控除の状況によって変わります。正確な金額は年末調整や確定申告の結果で決まります。
ただしそもそも税金を払っていない人(収入が少ない・扶養に入っているなど)は、軽くなる税金がありません。この場合、iDeCoの一番の利点が効きません。
違い③:iDeCoには費用がかかります
税金が軽くなる話の裏で、iDeCoには制度そのものに費用があります。NISAは口座を作るのも持ち続けるのも0円なので、ここは比べる前提として押さえておくところです。
| NISA | iDeCo | |
|---|---|---|
| 口座を作るとき | 無料 | 費用がかかる(数千円程度) |
| 毎月 | 無料 | 口座を持っているだけで毎月かかる |
| 受け取るとき | 無料 | 1回ごとに費用がかかる |
※金額は運営管理機関によって異なります。実際の費用は各社の案内をご確認ください。
しくみパパ
NISAは口座を持っているだけなら費用ゼロなので、この点は大きな違いです。
違い④:入れられる額と、買えるもの
NISAの上限は誰でも同じですが、iDeCoの上限は人によって違います。買えるものの範囲も、NISAのほうが広いという差があります。
| NISA | iDeCo | |
|---|---|---|
| 年に入れられる額 | 最大360万円(枠の合計) | 働き方によって上限が違う(会社員は月1.2万〜2.3万円程度) |
| 買えるもの | 投資信託・株など | その運営機関が用意した商品の中から選ぶ |
| 元本が減らない商品 | 基本的にない | 定期預金などを選べる |
働き方で、iDeCoの上限はいくら変わるのか
上の表の「働き方によって上限が違う」を、金額にするとこうなります。ここは自分で選べる部分ではありません。
| 働き方 | 毎月の上限の目安 |
|---|---|
| 自営業・フリーランス | 68,000円(国民年金基金などと合わせて) |
| 会社員(勤務先に企業年金がない) | 23,000円 |
| 会社員(勤務先に企業年金がある) | 20,000円まで(勤務先の制度により変わる) |
| 公務員 | 20,000円まで |
| 配偶者の扶養に入っている人 | 23,000円 |
※目安です。上限は勤務先の年金制度の内容によって変わり、制度改正でも変わります。自分の上限は必ず勤務先または運営管理機関でご確認ください。
しくみパパ
もともと会社員には厚生年金があるからという理由で、上限が抑えられている形です。
ただし毎月の費用はかかり続けるので、増えない商品を選ぶと費用のほうが上回ることもあります。
※iDeCoの拠出限度額は、勤務先の年金制度の有無などによって変わります。自分がいくらまで掛けられるかは、勤務先または運営管理機関でご確認ください。
違い⑤:60歳までという条件は、いまの年齢で重さが変わる
60歳まで引き出せない、という条件は、いま何歳かで意味が変わります。違い①の裏返しですが、NISAにはこの差がありません。
| いまの年代 | iDeCoで効いてくること |
|---|---|
| 20〜30代 | 引き出せない期間が30年前後と長い。住宅・教育費など、途中で何が起きるか読みにくい時期でもある |
| 40代 | 拘束される期間が短くなる。収入が上がっていれば、掛金が所得から引かれる効果も大きくなる |
| 50代 | 受け取りまでが近い。ただし加入した期間が短いと、60歳ちょうどでは受け取れず、開始が後ろにずれる場合がある |
※加入できる年齢や受け取り開始の条件は制度改正で変わることがあります。始める前に最新の情報をご確認ください。※将来の受取額や運用の結果は保証されません。
しくみパパ
若いほど税の恩恵を長く受けられる一方で、動かせない期間も長くなる。ここは表裏です。
併用はできるのか
違いを一通り見ると、次に出てくるのが「どちらか選ばないといけないのか」という疑問です。できます。どちらか一方を選ばなければいけない制度ではありません。
| 気になること | 実際は |
|---|---|
| 同時にやれるか | やれます |
| 枠は取り合いになるか | なりません。NISAの年間枠とiDeCoの上限はまったく別です |
| 口座はどうなるか | 別々に作ります。同じ金融機関でも、手続きは1本にまとまりません |
| 申し込みの手間 | NISAは口座開設のみ。iDeCoは会社員だと勤務先に書いてもらう書類がある |
| お金の引き落とし | 別々に落ちます。合計額が毎月出ていくことになります |
しくみパパ
証券会社や銀行が担っていて、ここを選ぶと、選べる商品と毎月の費用も決まります。
つまり併用は、家計の中に「動かせないお金」を増やす選択でもあります。両方やる前に、合計額を毎月出し続けられるかを見ておく必要があります。
どちらを先にやるべきか
これは順位づけの話ではなく、自分の状況で決まります。判断の材料を並べます。
| 自分の状況 | 考えられる順番 |
|---|---|
| 生活防衛資金がまだない | どちらも待つ。まず貯金 |
| 高い金利の借金がある | 返済が先という考え方もある |
| 近い将来に使うかもしれないお金しかない | NISA(引き出せるため) |
| 老後まで動かさない額を出せる/所得税を払っている | iDeCoも選択肢に入る |
| そもそも所得税を払っていない | iDeCoの一番の利点が効かない |
少しでも不安があるなら、引き出せるほうから始めておくほうが、行き止まりになりません。
しくみパパ
iDeCoの税の効果は魅力的でしたが、使えないお金を作る余裕がないというのが正直なところでした。
※これは私の判断の記録であり、どちらが優れているという意味ではありません。制度の内容は変わることがあるため、始める際は最新の情報をご確認ください。
よくある質問
| 質問 | 答え |
|---|---|
| iDeCoの掛金は途中で変えられますか | 年に1回変えられます。止めることもできますが、止めても口座を持っている間の費用はかかり続けます |
| 転職したらどうなりますか | 手続きが必要です。そのままにしておくと、運用されない状態のまま費用だけ引かれることがあります |
| NISAで買ったものをiDeCoに移せますか | 移せません。別の制度なので、いったん売って入れ直すこともできません |
| iDeCoの中の商品は、あとから変えられますか | 変えられます。持っている分を別の商品に入れ替える手続きがあります |
| 受け取るときに税金がかかるのですか | iDeCoは受け取り方によって扱いが変わります。控除はありますが、金額や他の退職金の状況によってはかかることがあります |
※手続きや費用の内容は運営管理機関によって異なります。実際の条件は各社の案内をご確認ください。
まとめ
- どちらも商品ではなく「税金が軽くなる箱」。中に入れる商品は別に選ぶ
- 最大の違いはNISAはいつでも引き出せる/iDeCoは原則60歳まで引き出せない
- iDeCoは掛けた額が所得から引かれる。運用の結果と関係なく税金が軽くなる
- ただしそもそも税金を払っていない人には、その利点が効かない
- iDeCoは口座を持っているだけで毎月費用がかかる。NISAは無料
- 併用はできる。枠は取り合いにならないが、家計から出ていく額は合計になる
- iDeCoの上限は働き方で決まる。60歳までという条件の重さはいまの年齢で変わる
- 判断の分かれ目は「そのお金を60歳まで動かせなくても平気か」
大事なのはどちらが得かではなく、「そのお金をいつ使う可能性があるか」を先に決めることのほうです。ここが決まれば、選ぶ制度も決まります。
調べてみて意外だったのは、iDeCoの一番の強みが「運用の結果と関係ない」部分にあったことでした。増えても減っても、掛けた時点で税金が軽くなる。ただしその代償として、30年近く引き出せないという条件が付いています。
しくみパパ