株と投資信託は何が違うのか。初心者に投資信託が勧められる理由
しくみパパ
調べてみると、買っているものがそもそも別物でした。
- 株と投資信託は、そもそも何を買っているのか
- 値段の決まり方の違い(1日1回 ⇄ ずっと動く)
- いくらから買えるのか
- 費用のかかり方がどう違うのか
- 配当と分配金は、名前が似ているだけで別物だということ
- なぜ初心者には投資信託が勧められることが多いのか
- 両方を持つ場合、何から決めればいいのか
ひとことで言うと
| 株 | 投資信託 | |
|---|---|---|
| 買っているもの | 1つの会社そのもの | たくさんの会社が入った詰め合わせ |
| 選ぶ人 | 自分 | 運用の専門家(中身の基準は商品ごとに決まっている) |
| 1社が傾いたとき | 直撃する | 影響が薄まる |
株は「1社に賭ける」形、投資信託は「まとめて広く持つ」形です。
しくみパパ
詰め合わせなら、1個傷んでいても箱全体は残ります。
違い①:値段の決まり方
ここが実務では一番大きな違いです。
しくみパパ
「口(くち)」は投資信託を数える単位です。1個2個ではなく、口で数えます。
| 株 | 投資信託 | |
|---|---|---|
| 値段の呼び方 | 株価 | 基準価額 |
| いつ決まるか | 取引時間中、ずっと動いている | 1日1回だけ |
| 買うときに値段は | その場で分かる | 買った時点では分からない |
だから投資信託では「10,000円分を買う」という金額の指定が基本になります。株のように「1株いくらで買う」という指定はしません。
違い②:いくらから買えるのか
| 必要な金額の目安 | |
|---|---|
| 株 | 通常は100株単位。1株3,000円なら30万円から |
| 株(単元未満株) | 1株から買える仕組みもある。この場合は数千円から |
| 投資信託 | 100円や1,000円から買えるものが多い |
※取扱いは金融機関によって異なります。単元未満株を扱っていないところもあります。
しくみパパ
気になる会社があっても、いきなり数十万円は出せません。ここで止まる人は多いと思います。
違い③:費用のかかり方
| 株 | 投資信託 | |
|---|---|---|
| 買うとき | 売買手数料(無料のところもある) | 購入時手数料(無料のものが多い) |
| 持っている間 | かからない | 信託報酬が毎日少しずつ引かれる |
| 売るとき | 売買手数料 | 商品によってかかることがある |
請求書は来ません。値段(基準価額)から自動的に引かれているので、気づきにくい費用です。
しくみパパ
違い④:かかる手間
| やること | 株 | 投資信託 |
|---|---|---|
| どの会社を買うか決める | 自分で調べる | 商品の中身の基準に従う |
| 決算や業績を追う | 必要 | 基本的に不要 |
| 買うタイミングを考える | 値段が動くので考えることになる | 積立にすれば自動 |
違い⑤:買える場所と、NISAでの扱い
| 株 | 投資信託 | |
|---|---|---|
| 銀行で買えるか | 買えない | 買える |
| 証券会社で買えるか | 買える | 買える |
| NISAのつみたて投資枠 | 対象外 | 国が基準を決めたものが対象 |
| NISAの成長投資枠 | 対象 | 対象 |
投資信託だけと決めているなら銀行でも足りますが、将来、株も買う可能性があるなら証券会社ということになります。
しくみパパ
前者は国が基準を決めた投資信託などに絞られているので、株は入りません。ここも違いが出るところでした。
違い⑥:株にしかないもの
| 内容 | |
|---|---|
| 株主優待 | その会社の商品や割引券などがもらえる制度。実施していない会社も多い |
| 議決権 | 会社の方針を決める場で票を投じられる権利 |
どちらも投資信託にはありません。中身の株を持っているのは運用会社であって、自分ではないからです。
※株主優待は各社が任意で実施しているもので、内容の変更や廃止があります。優待を目的に特定の会社を勧めるものではありません。
違い⑦:配当と分配金は、似ているようで別物
ここは名前が似ているせいで、いちばん誤解しやすいところでした。
しくみパパ
分配金は、投資信託が持っている資産の中から出されるお金です。出どころがまったく違います。
| 配当(株) | 分配金(投資信託) | |
|---|---|---|
| 出どころ | 会社が稼いだ利益 | その投資信託が持っている資産そのもの |
| 出したあと | 会社の手元のお金が減る | 基準価額がその分だけ下がる |
| 出さない場合 | 配当を出さない会社もある | 分配金を出さない商品もある |
| 受け取ると | 持っている株はそのまま | 自分の資産が外に出た形になる |
実際、分配金には利益から出たものと、自分が出したお金がそのまま戻ってきただけのものの2種類があります。後者は「元本払戻金」と呼ばれ、利益ではないので税金もかかりません。
しくみパパ
でも中身によっては、自分が出したお金が戻ってきているだけということがあるわけです。
分配金を出さず、中で買い増しに回すタイプの投資信託もあります。この場合、受け取るお金はありませんが、その分は中に残ります。どちらが良いという話ではなく、お金を今受け取るか、中に置いておくかの違いです。
※分配金の扱いは商品ごとに決まっています。特定の商品を勧めるものではありません。
なぜ初心者に投資信託が勧められることが多いのか
ここまでの違いを並べると、理由が見えてきます。
- 少額から始められる……100円や1,000円から
- 自然に分散される……1社が傾いても直撃しない
- 選ぶ手間が少ない……どの会社が伸びるかを当てにいかなくてよい
- 積立と相性がいい……金額を指定して買う形なので、毎月同じ額で続けられる
さらに持っている間ずっと費用がかかるという、株にはない負担もあります。楽なかわりに払っていると考えるほうが正確です。
※どちらが優れているという話ではありません。性質と手間が違う、という説明です。
どちらから始めればいいのか
順番を決める材料は、次の3つだと思います。
| 自分の状況 | 向いていると考えられるほう |
|---|---|
| まとまった資金がない(毎月数千円〜1万円) | 投資信託(少額で買えるため) |
| 調べる時間を取れない | 投資信託(選ぶ手間が少ないため) |
| 興味のある会社があり、調べるのが苦にならない | 株も選択肢になる |
しくみパパ
いまの段階では、選ぶ判断ができないものにお金を出さないほうが安全だと思っています。
ただし最初から両方に手を出すと、どちらの判断もあいまいになります。片方から始めて、慣れてから広げるほうが分かりやすいと感じました。
広げるときの順番と金額を、先に決めておく
慣れてから広げるとき、順番と金額が決まっていないと動けません。調べて整理した結果、決める順番は3つでした。
| 順番 | 決めること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 土台にする積立の額 | 毎月続けられる額でないと意味がない。ここが本体 |
| 2 | 株に回してよい上限 | なくなっても学費として納得できる額に限る |
| 3 | いつ株を買い始めるか | 調べ方が分からないうちは、金額より先に判断力が足りない |
株に回すお金は、土台とは別枠として考えるほうが管理しやすくなります。同じ財布の中で混ぜると、あとから「どちらでいくら増えた・減った」が分からなくなります。
しくみパパ
順番を先に決めておくと、相場が動いたときに迷わなくて済むというのが理由です。
読者の方にひとつ聞いてみたいことがあります。いま株を1社買うとして、「なぜその会社なのか」を自分の言葉で説明できるでしょうか。ここに答えられないうちは、私は投資信託で土台を作る側にいようと思っています。
よくある質問
| 質問 | 答え |
|---|---|
| 投資信託も、1日のうちに売り買いできますか | 注文自体はできますが、値段は1日1回しか決まりません。短い間に売買を繰り返す使い方には向きません |
| 投資信託を売ったら、すぐ現金になりますか | なりません。売る注文を出してから口座にお金が入るまで、数営業日かかります。日数は商品ごとに決まっていて、海外の資産が入っているものほど長くなりがちです。来週使うお金を置く場所ではありません |
| 投資信託が途中で無くなることはありますか | あります。集まったお金が減りすぎるなどの理由で、運用が途中で終わることがあります(繰上償還といいます)。その時点の値段で現金になって戻ってくるのでお金が消えるわけではありませんが、自分が決めていないタイミングで終わる可能性はあります |
| 同じ指数に連動する投資信託が何本もあるのはなぜですか | 作っている運用会社が違うからです。中身が同じ指数でも、信託報酬(持っている間ずっと引かれる費用)や規模は商品ごとに違います。「同じ指数だから中身も条件も同じ」とは限りません |
| 株を持っている会社が上場廃止になったらどうなりますか | 証券取引所での売り買いができなくなります。会社が必ず無くなるという意味ではありませんが、売りたいときに売る相手を見つけにくくなります。倒産した場合は価値がゼロになることもあります |
| どちらのほうがもうかりますか | 決まっていません。上がり方も下がり方も商品や会社によって違い、どちらも元本は保証されません |
※取扱いの内容は金融機関によって異なります。実際の条件は各社の案内をご確認ください。
まとめ
- 株は1つの会社そのもの、投資信託はたくさんの会社の詰め合わせ
- 株価は取引中ずっと動く。投資信託の基準価額は1日1回だけ決まる
- 株は通常100株単位。投資信託は100円から買えるものが多い
- 投資信託は持っている間ずっと信託報酬がかかる。株にはこの費用がない
- 配当は会社の利益から、分配金はその投資信託の資産から出る。分配金が多い=もうかっている、ではない
- 両方持つなら土台の積立額を先に決め、株は「学費として納得できる額」まで
- 少額・分散・手間の少なさから、初心者には投資信託が勧められやすい
大事なのはどちらが優れているかではなく、「自分がどこまで手をかけられるか」で決まるということです。調べる時間を取れないなら、選ぶ手間の少ないほうが続きます。
正直に言うと、私はこの2つを同じものとして読んでいました。値段の決まり方が違うことも、片方だけ持っている間の費用がかかることも知りませんでした。ここが分かってから、商品ページの意味が取れるようになりました。
しくみパパ