NISAの売り方。いつ売るのか、売った枠は戻るのか
しくみパパ
でも、お金は使うために貯めています。私は実際に売った経験があるので、その手順と、そのときに知らなくて困ったことを書きます。
- 売ってから現金になるまでの流れと日数
- 投資信託は「いくらで売れるか」が注文時点では分からない、という話
- NISAの中で売った利益に、税金はかかるのか
- 売った枠は戻るのか。戻るとしたら、いつ・いくら戻るのか
- いつ売るのか、という一番答えにくい質問について
※この記事は制度と手順の説明です。何をいつ売るべきかというおすすめではありません。
まず前提:NISAはいつでも売れます
ここを誤解している人が多いところなので、先に書いておきます。
| 引き出せるか | いつから | |
|---|---|---|
| NISA | いつでも売って現金にできる | 買った翌日でも可能 |
| iDeCo | 原則できない | 60歳になるまで引き出せない |
| 定期預金 | 解約すればできる | 途中解約だと利息が減ることがある |
縛りがあるのはiDeCoのほうです。この2つを混ぜて「投資は出せなくなるから怖い」と思っていると、判断を間違えます。
売る手順は4ステップです
画面の名前は金融機関によって違いますが、やることの順番は同じです。
| ステップ | やること | かかる時間の目安 |
|---|---|---|
| ①選ぶ | 保有している商品の一覧から、売るものを選ぶ | 数分 |
| ②量を指定する | 口数か金額か、あるいは「全部」で指定する | 数分 |
| ③約定を待つ | 売る値段が確定する(注文した時点では確定していない) | 1〜2営業日 |
| ④現金になる | 証券口座にお金が入る。銀行へ移すならさらに出金手続き | 約定からさらに2〜4営業日 |
しくみパパ
注文=申し込み、約定=成立、と分けて覚えると読めるようになります。注文しただけでは、まだ何も確定していません。
明日どうしても必要なお金を、今日NISAから作ることはできません。ここは実際に売ってみて、はじめて実感したところです。
「口数で売る」と「金額で売る」の違い
②で必ず聞かれるところです。似た言葉が並ぶので、先に整理します。
| 指定のしかた | 意味 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 口数を指定 | 持っている「量」のうち、いくつ売るかを指定する。いくらになるかは後で決まる | 保有量をきりよく減らしたいとき |
| 金額を指定 | 「10万円分」のように受け取りたい金額で指定する | 必要な額がはっきりしているとき |
| 全部売る | その商品をすべて売る | その商品を持つのをやめるとき |
しくみパパ
1個いくら、という値段が毎日動くので、同じ口数でも売る日によって金額が変わります。だから金額で指定しても、ぴったりその額にはならないことがあります。
積立の設定も、売ったからといって自動では止まりません(止めたい場合は別に手続きが要ります)。
売る値段は、注文した時点では分かりません
ここが投資信託の分かりにくいところです。
| 値段の決まり方 | 注文時に値段が分かるか | |
|---|---|---|
| 投資信託 | 1日に1回だけ計算される値段(基準価額)で売買する | 分からない |
| 株 | 市場が開いている間、ずっと動いている | その場の値段で売れる |
しくみパパ
市場が閉じたあとに1日1回だけ計算されるので、注文する時点では今日の値段がまだ存在しません。「いくらで売れたか」は翌日に分かります。
※値段が決まる日や締切の時刻は商品によって異なります。詳細は各商品の説明資料で確認してください。
1円単位まで合わせて使う予定を立てると、確実にずれます。余裕を持った額で売るほうが安全です。
NISAの中で売った利益に、税金はかかりません
ここがNISAの本体です。
| 10万円の利益が出て売った場合 | 手元に残る | |
|---|---|---|
| 通常の口座 | 約20%(20.315%)が引かれる | 約79,685円 |
| NISA口座 | 引かれない | 100,000円 |
※税率は2026年8月時点の一般的な扱いです。あくまで計算例で、この利益が出ることを示すものではありません。
「売ったら税務署から何か来るのでは」と心配になるところですが、NISAの中の売却なら何も来ません。
売った枠は戻ります。ただし「翌年に」「買ったときの金額で」
ここが一番ややこしいところです。戻る枠と、戻らない枠があります。
| 枠の種類 | 内容 | 売ったら戻るか |
|---|---|---|
| 生涯の枠 (同時に持てる上限1,800万円) | NISAの中で同時に持っていられる金額の上限 | 戻る(翌年から) |
| その年の枠 (つみたて120万・成長240万) | その年に新しく買える金額の上限 | 戻らない |
しくみパパ
今年100万円分を売っても、今年の残り枠が100万円増えるわけではありません。増えるのは来年の1月からです。
戻るのは「買ったときの金額」ぶんです
もう1つ、間違えやすいところがあります。売った金額ではなく、買ったときの金額(取得額)が戻ります。
| ケース | 買ったときの金額 | 売ったときの金額 | 翌年に戻る枠 |
|---|---|---|---|
| 増えていた場合 | 100万円 | 130万円 | 100万円 |
| 減っていた場合 | 100万円 | 80万円 | 100万円 |
※金額は仕組みを説明するための例です。この値動きが起きることを示すものではありません。
つまり増えた分は枠を食べません。枠の計算は、最後まで「買ったときの値段」で行われます。
いつ売るのか。私の場合は、生活が決めてしまいました
一番聞かれそうで、一番答えにくいところです。私は値動きを見て決めたのではありませんでした。
しくみパパ
「ここが売り時だ」と判断したのではなく、生活のほうが売る時期を決めてしまったという順番です。
積立を止めたあと、それまでに買った分は口座に残っていました。けれど赤字の月が続いて、最終的にその残りを売って穴埋めに充てました。いまの積立残高が0円なのは、このためです。
だから私は再開の前に、まず毎月の予算に入っていなかった支出(月17,026円ぶん)を洗い出して、先に取り分ける形に変えました。順番を逆にしていたのが失敗でした。
一般的にはどう考えられているか
| 売る理由 | 考え方 |
|---|---|
| 使う時期が来た | これが基本。もともと使うために貯めている。予定に合わせて売る |
| 方針を変えた | 持ち方を見直したときなど。金額の大小ではなく方針の話 |
| 値上がりしたから | 初心者には判断が難しい。売ったあとにさらに上がることも、下がることもある |
| 下がって怖いから | ここで売ると損が確定する。下がっている間は「まだ損は確定していない」状態 |
しくみパパ
これは私の判断であって、正解ではありません。ただ、「使う時期で決める」なら自分にも判断できると思いました。
この話は長くなるので、NISAで損をすることはあるのかに分けて書きました。売る前に一度読んでおくと、判断が変わるかもしれません。
よくある質問
| 質問 | 答え |
|---|---|
| 売るのに手数料はかかりますか | 商品や金融機関によります。売却時の手数料が無料の投資信託も多いですが、持っている間の費用(信託報酬)は別にかかっています |
| 売ったら積立も止まりますか | 止まりません。注意したいのは、全部売ったあとも積立設定が生きていると、翌月また買い付けが走ることです。やめるつもりなら、売却とは別に設定の解除まで必要です |
| 売ったお金はどこに入りますか | まず証券口座に入ります。銀行で使いたい場合は、そこから出金の手続きが必要です |
| 今年売った枠を、今年また使えますか | 使えません。戻るのは翌年からです。そのため年内に売って年内に買い直す(持っている商品の乗り換え)ができません。その予定があるなら、年末年始をまたぐ形になります |
| 売る注文は取り消せますか | 締切時刻より前なら取り消せることが多いですが、締切を過ぎると取り消せません。扱いは金融機関によります |
まとめ
- NISAはいつでも売れる。引き出しの制限があるのはiDeCoのほう
- 手順は選ぶ→量を指定→約定→現金化。銀行に届くまで1週間近くかかることがある
- 投資信託は注文時点で売値が分からない(基準価額は1日1回)
- NISAの中の売却益に税金はかからない。確定申告も不要
- 売った枠は翌年に戻る。戻るのは買ったときの金額ぶんで、その年の枠は戻らない
- 売る理由の基本は「使う時期が来たとき」。値動きで当てにいく判断は難しい
- 生活の予備がないと、売る時期を生活に決められる
売り方の手続き自体は、買うときより簡単でした。画面を数回押すだけで終わります。
難しかったのは手順ではなく、「売らずに済む形を先に作っておくこと」でした。私は予備を作らないまま始めたので、赤字の月に売るしかありませんでした。売り方を調べるより先に、売らなくていい状態を作るほうが効きます。
しくみパパ
「入れたら出せない」わけではありません。出口を先に知っておくほうが、落ち着いて続けられます。