家計簿が続かないのはなぜか。意志より先に、形を疑ってみる話
しくみパパ
でも私の場合、同じ時期に使っていた2つの家計簿で、結果が正反対に分かれました。意志の強さは同じはずなのに、です。
- 同じ人が使って、片方だけ続いた理由
- 家計簿が続かなくなる3つの構造的な原因
- 記録を始める前に決めておくこと
- 続く形にするための工夫と、家計簿をやめても家計を把握する方法
同じ人間が使って、片方だけ続いた
私はいま、家計簿アプリを2つ使っています。片方は自分ひとりの家計を見るため、もう片方は妻との共同の生活費を管理するためです。
| 用途 | 結果 | |
|---|---|---|
| マネーフォワード | 自分ひとりの家計を見る | 3か月で開かなくなった |
| オシドリ | 夫婦の共同の生活費を管理する | いまも続いている |
使っている人間は同じです。忙しさも同じ時期です。それでも結果は分かれました。
自分ひとりの家計簿には、それがありません。開かなくても、今日は誰も困らない。だから開かなくなりました。
しくみパパ
要するに締め切りのある宿題で、これがあるかないかだけの差でした。
つまり、続かなかったのは私の性格ではなく、続く形になっていなかったからです。逆に言えば、形さえ変えれば同じ人間でも続きます。実際に片方は続いています。
家計簿が続かなくなる3つの原因
自分ひとり用の家計簿が止まった原因を並べると、3つありました。どれも「サボったから」ではありません。
| 原因 | 起きること | 意志で解こうとすると |
|---|---|---|
| ①開く理由が外にない | 今日開かなくても誰も困らない | 「明日やる」が無限に続く |
| ②入力が手作業 | 毎日レシートと格闘する | 数日ためた時点で詰む |
| ③見たい数字が出ない | 入力しても何も分からない | やる意味を見失う |
原因①:今日やらなくても、誰も困らない
家計簿は締め切りのない作業です。締め切りがないものは、他の予定に必ず負けます。仕事のメールにも、子どものお風呂にも負けます。
しくみパパ
これが3日続くと、もう開きたくない量になっていました。
原因②:入力が手作業だった
レシートを撮る、金額を入れる、カテゴリを選ぶ。1回は30秒でも、毎日となると話が変わります。
銀行やカードと自動で連携できるアプリもありますが、連携できないものが必ず残ります。現金払い、家族への送金、年に1回だけ引き落とされる支払い。結局そこを手で埋めることになり、「半分だけ自動」という一番続かない形になります。
原因③:入力しても、見たい数字が出てこなかった
これは3つの中で、私が最後まで気づかなかった原因です。私が知りたかったのは「今月いくら使ったか」ではありません。
- 毎月確実に残るのはいくらか(一番厳しい月でいくらか)
- 年に1回の支払いを含めると、毎月いくら取り分けておくべきか
- いま契約している定期的な支払いは、全部でいくらか
実際、私が半年分のカード明細を全部並べたときに出てきたのは、毎月の予算に入っていない支出が年204,310円、月あたり17,026円という数字でした(内訳はこちら)。毎日つけていた記録ではなく、半年単位で並べ直して初めて見えた数字です。
毎日きちんとつけていても、年で見なければ存在に気づけない種類の出費があります。
記録より先に、決めることがある
ここが、私が順番を間違えていたところです。
家計簿は目的ではなく手段です。目的が決まっていないと、記録はただの作業になります。作業には締め切りがないので、原因①に戻ってきます。
| 何のためにつけるか | 見るべき数字 | 必要な記録の細かさ |
|---|---|---|
| 使いすぎを止めたい | 使ってよい残りの額 | 細かい。買う前に見る必要がある |
| 毎月いくら貯められるか知りたい | 収入 − 支出の合計 | ざっくりでよい |
| 固定費を削りたい | 毎月・毎年決まって出る額 | 年単位。日々の記録は不要 |
| 貯金が減る理由を知りたい | 口座と資産の残高の推移 | 月1回の残高だけでよい |
しくみパパ
この2つは見る周期がまったく違います。固定費は年1回見れば十分で、毎日つける意味はほとんどありません。
表を見ると分かりますが、目的の3つは「毎日の記録がいらない」ものです。それなのに私は、全部を毎日の記録でやろうとしていました。目的に対して道具が重すぎたわけです。
判断が決まれば見る数字が決まり、見る数字が決まれば記録の細かさが決まります。逆はできません。
続く形にするための3つの工夫
原因が構造にあるなら、直すのも構造です。私が実際にやったこと、そして続いているほうの家計簿から学んだことを並べます。
工夫①:締め切りを外から作る
続いた理由が「毎月の精算日」だったので、これを他にも当てはめます。
| 締め切りの作り方 | 具体例 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 人と共有する | 夫婦・パートナーと精算日を決める | いちばん強い。相手がいるとサボれない |
| 公開する | 月に1回、結果をSNSやブログに出す | ひとり暮らしの人 |
| お金の予定に紐づける | 給料日の翌日にまとめて見る | 共有相手がいない人 |
| 頻度を落として固定する | 毎日ではなく月1回だけと決める | 何度も挫折した人 |
続けたいなら、まず回数を減らすほうが先でした。
工夫②:入力を自分の手から外す
カード会社や銀行のサイトからは、明細をCSVでダウンロードできます。手で入力する代わりに、これを使います。
しくみパパ
現金払いをやめてカード・電子マネーに寄せると、記録は自動的に残ります。自分で書かなくても、明細のほうが勝手に記録してくれるからです。
工夫③:記録の粒度を落とす
「細かくつけたほうが正確」は正しいのですが、続かなければ正確さはゼロになります。
| 細かくつける | ざっくりつける | |
|---|---|---|
| 分類の数 | 15〜20項目 | 3〜5項目 |
| 1回の作業 | 全項目に振り分ける | 3〜5択から選ぶだけ |
| 分かること | 何にいくら使ったか | 使いすぎたかどうか |
| 続く確率 | 低い | 高い |
| 向いている場面 | 削る対象を探す数か月だけ | ふだんの運用 |
細かい記録は「原因を突き止めたい数か月」だけやればよくて、ずっと続けるものではありません。原因が分かったら粒度を落として構いません。
家計簿をやめても、家計は把握できる
ここまで書いておいてなんですが、家計簿をつけない、という選択もあります。
家計簿の目的が「お金の流れを知ること」なら、すでに記録は存在しています。カードの明細、銀行の入出金、証券口座の残高。全部、自分が書かなくても記録されているものです。
| 家計簿アプリ | 明細をそのまま使う | |
|---|---|---|
| 毎日の作業 | 入力が必要 | ゼロ |
| 取りに行く頻度 | 毎日 | 月1回 |
| 現金の支払い | 記録できる | 記録できない |
| 分かる粒度 | 店ごと・品目ごと | 店ごと |
| 買う前に止められるか | 止められる | 止められない(あとから分かる) |
しくみパパ
そのかわり「買う前に止める」機能は捨てました。そこは固定費側で先に引いておく形で埋めています。
明細だけで足りるかどうかは、目的次第です。「使う前に止めたい」なら明細では遅すぎます。「何にいくら出ているか知りたい」だけなら、明細で十分足ります。
向く人・向かない人
- 今月まだ使ってよい額を、買う前に知りたい人
- 現金払いが多く、明細に残らない支出が多い人
- 削る対象を探している最中の人(数か月の期間限定でよい)
- 支払いがほぼカード・電子マネーの人。明細がそのまま家計簿になっています
- 知りたいのが固定費だけの人。年1回の棚卸しで足ります
- すでに何度も挫折している人。同じ形でもう一度やっても、同じ結果になります
よくある質問
| 質問 | 答え |
|---|---|
| 何度も挫折したけど、また始めていい? | 同じ形で始めるなら意味がありません。締め切り・入力・粒度のどれかを変えてから始めます |
| 紙とアプリ、どちらがいい? | 続くほうです。紙は入力が手作業になるぶん、粒度を落とさないと続きません |
| レシートは取っておくべき? | 目的が「削る対象を探すこと」なら数か月だけ。ふだんの運用では不要です |
| 夫婦で1つにまとめるべき? | わが家は財布を分けて、共同の生活費だけ共有にしています。共有部分に精算日があるので続いています |
| 1円単位で合わないと気持ち悪い | 合わせるほど続きません。合わない分は「使途不明」でまとめて構いません |
まとめ
- 続かない原因は意志ではなく形。同じ人間でも、形が違えば結果が変わる
- 原因は3つ。開く理由が外にない/入力が手作業/見たい数字が出ない
- 記録より先に「どの判断のためにつけるのか」を決める
- 直し方も3つ。締め切りを外から作る/入力を自分の手から外す/粒度を落とす
- 家計簿をやめても、明細という記録はすでに存在している
しくみパパ
できるようになったのではなく、やらなくていい形に変えただけです。
家計簿が続かない人は、たぶん真面目な人です。細かくつけようとするから重くなり、重いから続かない。順番としては、まず軽くして、それでも足りなければ細かくする。逆はうまくいきませんでした。